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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「八朔の雪―みをつくし料理帖」 高田 郁

神田御台所町で江戸の人々には馴染みの薄い上方料理を出す「つる家」。
店を任され、調理場で腕を振るう澪は、故郷の大坂で、少女の頃に水害で両親を失い、天涯孤独の身であった。大阪と江戸の味の違いに戸惑いながらも、天性の味覚と負けん気で、日々研鑽を重ねる澪。
しかし、そんなある日、彼女の腕を妬み、名料理屋「登龍楼」が非道な妨害をしかけてきたが・・・。料理だけが自分の仕合わせへの道筋と定めた澪の奮闘と、それを囲む人々の人情が織りなす、連作時代小説の傑作ここに誕生!
天の采配 という言葉がある。

人はすべて各々が大事な役目を与えてられてこの世に生を受ける。
例え生まれてすぐ儚くなってしまった乳飲み子でも必ず託された使命がある。
そう信じずにはいられない、これはそういう小説だ。

僅か十代で自身だけを頼りに生きていく。
現代の男性でも難しい、苦難に満ちた生き様をはるか江戸時代にやってのけた少女がいる。

親も友も故郷も、手にする愛がすべてこぼれていく宿命。
この時代、何も持たない薄幸の少女が辿る道はそう多くはない。しかし少女は、まるで辛い宿命と引き換えに天が与えてくれたかのような、彼女にしか持ちえない才能と美徳によって、たった1人で真の苦界とも言える世の中を健気に真摯に進んでゆく。


天が彼女に与えた才能。
それは創意と工夫に喜びを見出せる心である。
彼女は「食」という、最も単純で、でも人の心にも体にもとても大切な役目を果たす行為にその心を見い出した。
人の持つ欲・本能の中で「食」だけは、絶対に自己完結が出来ない。豪華な食事だろうが苦い草の根だろうが、人は必ず「食べ物」という異物を体の中に融け込ませなければ生命維持が出来ない。
1日3回、1年で千回を超える栄養摂取のための単純作業の繰り返しだ。
そして少女は祈る。
どんなものを食べても「一回の食事」、ならばどうかその「一回」が体だけでなく心にも融け込み満たすようなものでありますように、と。
折れて、腐って、投げてもおかしくないほどの困難にぶち当たっても、彼女が決して諦めないのは単なる負けず嫌いなだけではないのだ。


天は弱さと強さという、相反する2つの美徳も少女に与えている。
無力に涙する弱さと、それに屈しない強さ。
温かいものに焦がれる気持ちと、大切なものを守りたい想い。
少女の弱さと強さに焦がれるように、彼女の周りには人が集まる。彼らは彼女に生きがいを教え、生きがいは彼女を苦難へも堕とす。しかし苦難に膝折れながらもまた立ちあがるのは、手を差し伸べてくれる人がいるからだ。

そうやって繰り返し繰り返し、人を、心を、ゆっくりしっかり結んでいって、懸命に生きて、気がつけば少女の周りには失くしたと思った愛があふれている。
父ができ、母ができ、友がいて故郷がある。
少女は決して1人ではなく、彼女もまた、娘として、友として、食を通じて大きな愛をあまたに与える奇跡の存在として、天が采配したこの世のひとコマだったのだ。



暗雲の中、力の限り進んだ先に待っているのは澄んだ蒼天。
そこには燦然と輝く旭日がある。


私も見たい。蒼い空を。眩しい旭日を。






余談:8月1日(八朔)にUPする事が出来ました。野望達成です(笑) 

 

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2009.08.01 Saturday 14:06 | comments(0) | trackbacks(0) | 
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