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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「風が強く吹いている」 三浦しをん

胸をゆすぶられる小説がある。
衝撃で。焦燥で。感動で。
三浦しをんはこの小説にそのすべてを閉じ込めた。

今、画面の前でひたすら想いを綴る私はなんだ。風は今日も吹いているのに。


人生はマラソンに例えられる。
1人で長い時をひた走る時の様に、健やかなる時も病める時も必ず訪れるものだと。
違う。人生は駅伝に例えられるべきなのだ。
先進国中断トツの自殺率であるこの国が「駅伝」という競技を生んだ。私たちはこの意味をもっと考えてみてもいい。人から人へとたすきを繋ぎ、チームとなってゴールを目指す駅伝。繋ぐのはたすきだけではない事は運動音痴の私でもわかる。
彼らは願いを繋ぐのだ。

この本での駅伝は「箱根駅伝」、新年の季語と言ってもいいぐらい有名で伝統ある大会だ。当然出場は難しい。
10人が2日をかけて約200キロを全力走破するこの過酷な競技に、ギリギリのたった10人で挑んだチームがいた。騙し打ちの様に集められた彼らは秘めた才能と努力で奇蹟を呼ぶ。
こんな風に書いてしまうとなんと眉つば、これじゃマンガでしょ?と思うのも無理からぬ事。実際私もそう思っていた。
しかし作者は驚異の想像力と確かな表現力で眉つばを生つばに変えてしまった。

無謀とも思われる、10人すべての書きわけ。それぞれがたすきに託す願い、つまり全区間の選手の想いを作者はすべて書ききった。そのどれもに真摯で切ない輝きを抱かせて。

ハイジの、走の、ユキの、キングの…双子でさえ抱く思いは別物だ。
それぞれがそれぞれの想いを胸に走るのに、なぜかどの気持ちもわかってしまう。まるで自分の心を10コに分けたかのように。胸にくすぶる様々な心情を作者は鮮やかに「言葉」と言う形に変えていく。期待以上の言葉で見事に表現されていく「想い」に共感と驚嘆が止まらない。
これこそプロの仕事。「作家」の仕事。風に吹かれてきた人の仕事。

そして作者は想いの果てに様々な結末を用意する。
降りるもの。終わるもの。続けるもの。
作者はここを描くために書いてきたのだ。
自らが決めた事を誰も非難しない、自信を持って風の中を切り進んで行けと伝えるために。強い風を自ら起こし人を求めよ、と。

彼らのすべてであった箱根駅伝さえ人生の中では一区間、この先にはまた違う風景で違う誰かが願いを込めて待っている。
求めて、求められてお互いが手を伸ばす。そして受け取った願いと共に再び走る。
辿りついて初めてわかる「ここだ」と思う所を目指して。


願いを携え手を伸ばして、私もそこへ行こう。
求めてくれる人は、きっといる。そう信じるから生きられる。



   
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2009.08.12 Wednesday 16:26 | comments(2) | trackbacks(0) | 
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