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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「隠蔽捜査」 今野 敏

今から公務員試験を受けたら竜崎の部下になれますか?
私、本気で彼の下で働きたいんですけど!


グロか人間不信がお家芸の「警察小説」で、枯れかけオトメ回路がウズく作品によもやお目にかかるとは思わなかった。
出てくるのは刑事、キャリア官僚、所轄派閥、事実隠蔽…。ある事件が起こり、警察が動き、上層部の思惑がある。
いうまでもなくこの小説は、警察内の本音と建前から事件を切り取る典型的な警察小説だ。
警察という、法の名の下に正義を行う組織。
しかしその内部は人種差別もかくやの学閥社会、打算と駆け引き、時には陰謀も。
まさに地に落ちた権威。こんなもの今さら暴かれてもうんざりだ。
わかっている、もう見たくない。

いつもならそう思う。
なのに今、楽しくてしょうがない。
50を手前の官僚キャリア竜崎が、彼の考える「正義」の下で繰り広げる言葉や行動に痛快を通り越して感動すら覚えるからだ。

一流大学に合格した息子に東大でないから浪人しろといい、従わせてしまう男。
東大卒ではない同期キャリア(しかも幼なじみ)に優越感を感じる男。
出世に有利になるかどうかで上司への対応を判断する男。

人の言葉の裏しか見ない?褒められたらイヤミと取る?こんなヤツ、底意地の悪いただのおっさんだ。
物語の初めから終わりまで「男」の態度も性格も変わらない。こんなにイヤなヤツなのに物語が終わった後、冒頭のアツい叫びが待っている。

なんてかっこいいんだ!
出世しか、保身しか考えていないような初老の男は、実は何よりも誰よりも正義を重んじる真の警察官だった。

父への不満、やり切れなさから薬に手を出してしまう息子。
出来心だと温情をかけ、男の仲間はみな目をつぶろうとする。だが男は、息子が起こした罪をうやむやにする道を取らない。
信じる「正義」を貫くために権力が必要なのだとキャリア官僚の道を進んできた男は、信じる「正義」のために息子を自首させる。何故なら彼は「警察官」。そして彼の家族は「警察官の家族」なのだ。
なんとこの時の、家族での話し合いの場面が今作の一番のヤマ場である。
私は警察小説を読んでいたのではなかったか?

息子の自首についていこうとする竜崎。
ところが妻はつき放す。家のことは私に任せて貴方は国のために働きなさい、と。
さて、私は、こんなステキな母だろうか、妻だろうか。
第1級のエンタメ警察小説を読んでいたはずなのに、こんな問いを自問しなければならない羽目になるとはまさか想像できなかった。

あれほど会話のなかったバラバラと思えた家族は、実は深い愛で繋がっていたのである。ただ、男の愛の表現が不器用だっただけだった。世間一般の父親と同様に。


この後も続く竜崎の、計算高いが打算のない天然すら感じる潔い行動は、家族だけでなく友も部下も警察そのものさえ救ってしまう。本人の降格と引き換えに。
降格さえ恐れなければ=本来の警察の役目だけを考えれば、正義は簡単に守れるという作者の痛烈なメッセージが伝わってくる。

ああ、面白かった。
やはり、山本周五郎賞(2008年、伊坂さんとダブル受賞)にハズレなし!



この後 今野さんのライフワーク「安積班シリーズ」に手を出したのは言うまでもない。
これもまた、イイんだな…。ドラマ化はちょっと驚いたが。

今野先生、多作でいらっしゃるので全コンプはムリですが、できるだけついていきます!





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2009.11.18 Wednesday 03:14 | comments(2) | trackbacks(0) | 
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