<< June 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
いらっしゃいませ
◆拙ブログカテゴリー・ご案内
◎さくら書房…読書感想・書評です。ジャンル問わずなんでも読みます
・ブログ感想&レビュー…「ですます調」
・投稿書評…「だ、である調」
と、文体を変えています。日によってコロコロ変わるのはそのせいです
読みにくくてすみません…。

基本・ネタバレてますです。
◆オンライン書店bk1様より
鉄人癲イい燭世ました   
 ★5月10日 bk1投稿記録更新しました


presented by Youtube音楽PV

           

スポンサーサイト

[ - ]

一定期間更新がないため広告を表示しています

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 私もここで勉強させていただいています .               励みになります♪web拍手
2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「横道世之介」 吉田修一

あの時、あんなに輝いていた時間が、いつのまにか光を失う。

あの時、あんなに大事だった人が、いつのまにかくゆり霞む。 

あの時、あんなに胸を打った想いも、今や記憶の隅である。



「横道世之介」
一度聞いたら毎度うっかりフルネームで呼んでしまいそうな彼と、僅かに自分の青春を交差させた人々が、二十数年を経てその時を思い出す。
あいつといて確かに楽しかったのに…。
こんなに印象的な名前を彼らはすぐに思いだせない。それほど、時は流れていたのだった。


若い時は、手にしよう、つかもうと、前だけを見据えて求めつづけ、今は、手につかんだものを大切にしたいと思う。近い将来は、遺していく大切なものに後ろ髪をひかれつつも、天に召されるのだろう。
誰もがこうやって己の人生を進んでいき、共に歩むと心に決めた伴侶でさえ、各々の人生が重なりつづけるわけではない。
前だけを見つめ続けた青春の時に、わずかに交差する友情。愛情。すべて覚えていられやしない。それがあたりまえだ。


「忘れる」ことは、人が人として生きていくために必要な行為である。
体験、思考、それらをすべて覚えていたら人の肉体も精神も数年で壊れてしまう。
激しい怒りを和らげ、苦い後悔を許し、過ぎた過去から煌めく想いだけをすくいだす。
あたりまえに「忘れる」から出来ることだ。だから、今、人は野生動物よりも長く生きられる。

人の心を救い、戒め、律するよすがともなる「忘れる」ということ。
だからこそ、忘れ去ってはいけないことがこの世にはある。
作者は、だから、この小説を書いた。 書かなければいけないと思った。
これは作者が綴った、感謝と警告と誓約の書だ。

過ごした時を忘れてもいい。伝えられなかった想いを忘れてもいい。
でも忘れたままにはしない。必ず思い出し、名前を呼ぶ。たとえ、ほんの時々、心でつぶやくだけだとしても。




私にとっての世之介、きっともう出会っている。

まだ、間に合う。心でつぶやくだけでなく、彼に、彼女に会いに行こう。
貴方に会えてよかったって、伝えに行こう。


にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
 私もここで勉強させていただいています .               励みになります♪web拍手
2010.05.26 Wednesday 11:51 | comments(1) | trackbacks(0) | 
 | 1 / 1 PAGES |