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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「それでも花は咲いていく」 前田健

なかなか更新できません…。と毎度テンプレご挨拶でごめんなさい。
なんだかバタバタと慌ただしく、思うように書けない…。結構本は読んでいるんですも。


とりあえず今年1回目の投稿作をUPいたします。
三浦しをんさん「2009年・オススメの3冊」に上げていらした、お笑いタレント・前田健さんの処女小説です。

しをんさんご推薦とはいえ、正直、エンタメ性を買われただけだろうと思っていましたので、出来はさほど期待しておりませんでしたが…。イッキに感想書きあげてしまいたくなるくらいには裏切られました(笑)やるな〜、マエケン

以下、マジガチ感想です。ネタバレお気をつけ下さいまし。
                
                *          *          *


エーデルワイス
ダリア
ヒヤシンス
デイジー
ミモザ
リリー
パンジー
カーネーション
サンフラワー

どれも綺麗な花だ。


この作品は、個人的にはお笑いタレントとしてしか認識していなかった前田健さんが書いた処女小説だという。最近よく見かけるいわゆる芸人小説ってヤツで、忌憚なく申せば、完成度より話題性先行というところだろう。

偏った性的嗜好をもつ9人の人間を、「花」になぞらえる。
少々使い古された手法である。よほど読ませる文章でなければ、この手の陳腐ギリギリの設定は活かせない。偏っていてもそれも個性、花が色とりどりと咲くように、健気に生きる人々を描くんだろうなってハナから予想出来てしまうもの。

実際に読み始めると、やはり、である。
お世辞にも上手いとは言い難い文章。字もしっかりと大きくて、近頃視力に不安のある私に配慮して下さるのかしら、まあありがとう、だ。おかげでページをめくる手も早い。

…早い。速い。どんどん速くなる。
惹きつけられる。目がそらせない。息を止めるように読む。あっという間に読み終わってしまった。
後に残る、慙愧に堪えないこの気持ち。一体どうしたらいいのだろう。

申し訳ない。これは「本気」の小説です。
花にたとえられた9編の短編の主人公、形は違えど彼らは皆、同じ問いを叫び続ける。稚拙を、陳腐を凌駕する、本気で刻んだ血を吐くような心の叫び。

他人の望むように生きられない、歪んで生きる自分たちに価値はあるのか。
誰のためにならなくとも、命を繋いでいけなくとも、存在してもいいのだろうか。



そもそも「花」は生殖器である。
己の存在を次世代へと引き継ぐために、それぞれの植物が長い年月をかけて選んだ命の形だ。
それを美しく、より美しくと、愛でて手をかけ改良してきたのは人である。その結果、今の園芸種はほとんど「F1(一代交配種)」、すなわち種の取れない品種になった。交配の繰り返しで人の求める特性だけを強化され続け、その姿を次世代に残す事が出来なくなった、儚く歪んだ生き物なのである。

愛する人に贈る花、公園を彩る花壇、食卓に並ぶ野菜、それらはすべてその時だけの究極の美、命を犠牲にした、でもやっぱり命の結晶だ。
人の求める徹底した「美」のために命の炎を弱められ、それでも健気に咲き誇る花。例えその姿を伝えられずとも、ただひたすら命の形を結ぼうとする。そこには妥協も計算もなく、あるのは純粋な「本気」だけだ。
この作品に込められた本気の叫び、エール、そして多分懺悔の念がこんなにも胸に迫るのは、花に魅せられる心と同じと思う。綺麗で、儚くて、苦しくて、愛しい。

陳腐な比喩などでもなければ、安易な発想でもない。
作者が描く9人は「花」に託されなければならない。歪みながらも本気で生きる彼らと、私たちと、何より作者のために。


花の扱いを生業ともする私は、今日も仕事で花を束ねる。
彼らの本気にありがとう、と伝えながら。ごめんね、とつぶやきながら。最後まで大事にするからね、と約束しながら。

この本に咲く9つの花も、私の手でブーケにしよう。
そしてそれを作者に捧げる。


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2010.02.08 Monday 02:23 | comments(2) | trackbacks(0) | 
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