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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「白い薔薇の淵まで」 中山可穂

本書は第14回(2001年)山本周五郎賞受賞作品だが、本を閉じた今、この作品を選んでくれた選考委員の皆様に1人1人握手して回りたくてたまらない。
この本の存在を教えてくれた事に対するお礼ともう1つ、筆者に命を与えてくれたことに対しての感謝を伝えたくて。



本書はジャン・ジュネの再来と言われる新進気鋭の女流作家「塁」と、普通のOL「わたし」との激しい同性の愛の記録だ。
この作品は多分に筆者の姿が自己投影されている。筆者は同性愛者であることを公言しており、そのカミングアウトに伴う社会的制裁とも言える偏見の中を1人戦ってきた女性だ。
彼女の自分への嫌悪、肯定、孤独、恋慕などがある時は「塁」、ある時は「わたし」となって本書の中で激しく渦巻く。

もともと恋愛感情には生殖行為という欲望が潜んでおり、これはすべての生物が持つ子孫繁栄のための犯しがたい本能であるが、同性愛はその本能に真っ向から立ち向かうある意味人間でなければ成しえない恋愛の形と思う。(繁殖期にあぶれたオス同士の疑似行為もあるがそれとはもちろん違う)
もちろん同性愛をもろ手を挙げて賛成しているわけではない。肉体交渉込みで同性を恋愛対象としてしまう気持ちはやはり私にはわからないし、身内から同性愛者だと告白されたらきっとショックで取り乱してしまうと思う。場合によっては、もっとよく考えろとひどくなじるかもしれない。

しかし本書はそういった感情を通り越し、もっと根源の部分を揺り動かす。
それは恋に溺れて命を削るのではなく、命を削ることこそが恋愛だと言われているような深い業だ。
相手が異性でも同性でも、ここまで妥協も計算も許さない真摯な恋愛を本当にしたことがあるのか?と付きつけられている気がするのだ。
異性だの同性だのと区別することが本当に必要なのか。子孫を成せる愛でなければ「是」と言えないのか。ならば初めから身体的に不妊である男女の恋愛は意味ないものなのか。はっきり答えられるものがいれば教えてくれ、と筆者は作品を通じて私たちに問いかけているように思えてならない。
そして誰もこの問いに答えられない。考え始めたら今の自分が揺らぐからだ。
この本を読んで焦燥にも似た感動を覚えるのは、まさにこのせいだ。


筆者はまさしく命を削って作品を書いている。「塁」のようにはならないと、歯を食いしばって一生懸命自分を叱咤しながら。
そして自分でもわからない、でも誰にも答えてもらえないこの問いを投げかけ続けるうちに命尽きてしまいそうだ。
だから本書に、というか筆者に賞を与えてくれた方々に感謝する。
この賞は彼女に生きる希望を与えたはずだ。これほど意義のある賞があるだろうか。私にはできなかった、筆者に答える一つの形。
おこがましいが委員の方々に握手して回りたい。


 

【ブログ内関連記事・山本周五郎賞受賞作】
「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」 白石一文〜 山本周五郎賞 第22回
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特集・山本周五郎賞完全制覇・第6回 「火車」 宮部みゆき
特集・山本周五郎賞完全制覇 第1回 「異人たちとの夏」山田太一
2009年 読書感想記事・早見表 



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