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と、文体を変えています。日によってコロコロ変わるのはそのせいです
読みにくくてすみません…。

基本・ネタバレてますです。
◆オンライン書店bk1様より
鉄人癲イい燭世ました   
 ★5月10日 bk1投稿記録更新しました


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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「奪取」 真保裕一〜「山本周五郎賞・完全制覇」第10回

特集・「山本周五郎賞・完全制覇」 本日は第10回(1997年)真保裕一「奪取」を紹介する。

これは、bk1書評に書いたものでもあるので、いつもと文体が違う事を最初にお断りしておく。
書評と同時公開は申し訳ないのだが、一部、書評とは変えてあるので、それでお許しいただきたい…。

                      

衝撃の面白さ!
これほどのエンタテイメント、早々ころがっているもんじゃない。
小さなフェイクから大きなどんでん返しまで、この作者が読者を楽しませるためどれほど粉骨砕身している事か。私たちがそれを受け取らない訳にはいかないではないか。
心底楽しませていただいた。


ネタばれたら作品の魅力が半減するためできるだけ気をつけたが、やっぱりネタバレになってしまった「感想」を次ページで。

 これは強きものが弱きを助けるお話でも、弱きものが強きものに変わっていくお話でもない。
弱きものが弱いまま、誰もが持てる「勤勉と努力」によって偉業を達成するという単純明快・痛快至極のハイスピード・コン・ゲーム、ややシニカル風味、である。
偉業によって達成するのは「偽札作り」、お上にたてつく大罪だ。


まるで落ちてる石ころを拾うかのような気安さで自販機破りをする道朗。
彼をネコの子をつまむように捕まえるヤクザ。
少しもあわてず口先一つでヤクザを丸めこむ道朗に、冒頭からついつい引き込まれる。

いったい、このしたたかな青年は何者?
ヤクザに追われるような何をしたの?

わずか数ページでたくさんの「?」をちりばめて、行きつく偉業は「偽札」。
「勤勉と努力」をこっちに持っていくのか!と唖然とするが、こんなところでアングりしていては約1000ページに及ぶ本作を読み終わった頃には、口腔外科に予約を入れる事必至。この後に待っている怒涛の展開に口を閉じるひまがないからだ。

一難去ってまた一難、そして一男去ってまた一男。
銀行員も騙せる「偽札作り」は当然困難の連続だ。知識、材料、資金…。おまけにヤクザにも警察にも追われる。
ところが、まるで神が贋作の成功を望んでいるかのように、必要な時に必要な人や物が現れる。その面白さたるや現代版「藁しべ」と言えなくもない。緻密な構成の妙技を堪能しよう。

もう1つこの作品の魅力は個性的な各キャラクターだ。
彼らのバランスのとれた力関係と絶妙なやりとり、三谷映画かルパン三世」でも見ているかのようなコミカルで含蓄に富んだセリフが、コン・ゲームにつきものの専門用語の応酬による味気なさを相殺している。
その上、うんちくと友情で盛りだくさんかと思いきや、ちゃんと「ラブ」もある。それもサスペンスお約束のエロエロドロドロの男女のそれではなくて、スッパリと潔いそれでいて大人の愛情だ。(お相手は未成年だが。ははは)
そこにも仕掛けを施すんだから、この作者どれだけサービスしたら気が済むのか(笑)


個性的な彼らは、もちろん友情や愛情でも結ばれているが、もっとも大きな絆は偽札作りにかける「情熱」だ。
そもそもきっかけはヤクザから不当に請求された借金を短期間で返済するための研究だった。それがいつしか目的は、金儲けよりも「完全なる贋作」への情熱、へとシフトしていく。

(偽札作りが成功して)
「大金が手に入ったらなにがしたい?」と仲間に問われてユキオは胸をはって答える。
「もっと完璧な偽札作りのために使う!」


まさに夢は夢のためにある。


アツい情熱は目的の善悪はともかく、とにかく人を引き付ける。望んで巻き込まれるハリケーンで、命を落とすも本望なのだろう。しかも1人ではなく仲間がいる。

これほどの夢、見つけられた彼らがちょっぴり羨ましい。



「真保裕一」
最後まで読めば、彼の名は決して忘れない。漢字一字間違える事はない筈だ。保証する。
そして真のエンタテナーに素直に兜を脱ぐだろう。

これも保証する。





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