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2012.04.26 Thursday  | - | - | 

「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子

私はチェスを知らない。
コマやルールはなんとなくわかっても、実際にゲームをした事がないのである。

この作品がチェスを扱っているのは知っていた。
そしてチェスの醍醐味を知らない私がこの本の面白さを果たして理解できるのか、少々不安だった。
でも、読んでわかった。この本はそんな事(だけ)を伝えるために書かれたんじゃない。


この本には3つの棋譜がある。
1つは今作の主人公・リトル・アリョーシャンが師匠や好敵手と繰り広げるチェスの棋譜。
身体に不具を持つチェスの天才がハンデを超えて繰り広げる、芸術的ともいえる手に汗握る攻防の数々。チェスを知っていたらもっと楽しいだろうと思わせる。

もう1つは彼が友と共にその生のすべてを賭けて刻む、人生という名のただ一局を記した棋譜。
捕らわれ、囚われて「そこに在るだけ」になってしまった哀れな仲間たちに息吹を与え、共に闘い、最も強い「クイーン」がその棋譜を後の世まで守り続ける。

そして最後に最も美しい棋譜、作者がこの作品を通じて読者と交わす想いの一手である。
1つ目の棋譜が少々感覚的でも、2つ目の棋譜がやや感傷的でも、最後の棋譜に気づけばそれらの不満は霧散し、残るのは感動である。


例えば絵画や音楽ならその作品に心を奪われるのは「一瞬」、その「一瞬」の意味を考えるのが楽しい。
そして書物の喜びは流れる「時」だ。心を寄り添わせ、奪われるために必要な、その時間が愛しいのである。
あらすじやレビューではなく、作品そのものに最後まで触れてその果てに生まれる「想い」。
考えられうる限りの可能性を考え、その中から自分がこれだと思うたったひとつをすくい上げる喜び。それを形にする時の高揚感。(と、捉えきれない口惜しさ)

こうして書評を綴るのは、作者と私が真剣に対峙した時と軌跡を記した棋譜と言える。
これはチェスを知ろうが知るまいが関係なく、本を読む事で誰にも生み出せる究極の一局なのである。

作者の真摯なチェスと創作と執筆への情熱は、物語を凌駕した、読書の姿勢というものを私に再認識させた。これはもう見事というしかないだろう。
感動、などというベタな言葉でか表現できない自分が悔しい。


三文だろうが文芸だろうが、マンガだろうが論説だろうが、これからもただ真摯に本と向き合う事を誓う。結果、生まれる形が疎でも歪でも、そこに至るまでの棋譜は美しいと胸をはれる自分でいることを誓う。
出来れば、人生も。





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